優雅に咲き誇る花々に身をゆだねるかのような鳳凰が美しい留袖。鳳凰は、「龍」「麒麟」「亀」と共に「四霊」といわれています。鳳は「雄」、凰は「雌」を表し、また、頭部は空、目は太陽、背中は月、足は地球、尾は惑星と符合し、この世と天上をつなげる鳥とも言われています。鳳凰はこの世が平和になるときに現れ、出会う幸運な人々を祝福し、これから素晴らしいことが起こることを告げるとされています。謙虚で忠実、貞節で控えめに行動し慈悲に満ちた智慧があり、伝統的に理想とされる女性の鑑としての象徴ともされています。花々の後ろに控えめに描かれている円を重ねた文様の「七宝」は、もちろん7つの宝を意味しています。金・銀・瑠璃・波瑠・珊瑚・真珠・瑪瑙（めのう）です。丸い形の円形は円満。宝は富貴や無限の子孫繁栄を表しお祝い事には大変好まれて描かれています。宝相華（ほうそうげ）は唐草文様の一種です。色々な花や葉を総合的に組み合わせ構成し、8弁の先のとがった空想上の花を複雑に華麗に描き唐草的な表現であしらったものです。仏の功徳を宝の相と見立てて花とした吉祥思想から作られたとされています。