グレーのニュアンスをまとった淡いピンク地に、雪輪や幔幕文様(まんまくもんよう)をあしらった上品なたたずまいの色留袖です。梅や白い花の枝を背景に豊年を象徴する雪輪が3つ配されています。特に目立つ金地の雪輪には、おめでたい松や牡丹の花とともに打ち出の小槌や亀甲花菱が詰められています。そばに添えられているのは、花輪違いや流水が描かれた薄橙色の控え目な雪輪。流れるようなラインを描いて花の小枝が、桜と流水を詰めた薄橙色の雪輪と咲き誇る菊や小花桜へと視線を導きます。裾近くに配された幔幕には流水に架けられた橋に松が添えられ、自由闊達な線で描かれた枝の先に咲く紅梅が甘くなりがちな雰囲気を引き締めています。後ろ身ごろは両側に幔幕が配され、御所車が詰められた雪輪から四季の草花がこぼれるように咲いています。ここでも梅の小枝がみずみずしいタッチで描かれ、地色を引き立てるピンクの桔梗が微笑むように咲いています。この色留袖はご祝儀の席だけではなく、祝賀会などのさまざまなフォーマルシーンにもぴったりの礼装となります。