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華麗なる結婚式のお呼ばれ着物ガイド|着物ライフスタイル

結婚式の着物の選び方

親戚、友人、職場関係など立場別に専門家が教えるお呼ばれマナーとスタイリングの極意をお伝えします。

目次

女性のためのお呼ばれ着物ガイド:結婚式で輝くスタイリングの極意!

 結婚式に招待された際、着物での参列は特別な機会ですが、どんな着物を選べば良いのか迷うこともあります。
特に親族の場合、結婚式には『着物で参列してほしい』とお願いされることもあります。
 また、成人式の「振袖(ふりそで)」を着用したいと思っている方も、自分の年齢や立場での適切さについて悩んでいることでしょう。
 この記事では、結婚式で輝くために一目でわかる、自分の立場に合った着物の選び方をご紹介します。
 お呼ばれの結婚式で着られる着物にはどのような種類があるのか、そしてその着物の『格(かく)』や、立場に応じたふさわしい選び方についてお話しします。
 結婚式のための着物選びは慎重なものですが、このガイドを参考にして、素晴らしいスタイリングで特別な日を彩りましょう。

 結婚式はフォーマルな場であり、服装もその場にふさわしいものを選ぶことが基本です。
 フォーマルな服装には大きく分けて、『正礼装(せいれいそう)』『準礼装(じゅんれいそう)』『略礼装(りゃくれいそう)』の3つの種類があります。
 『正礼装』は最も格式が高く、次いで『準礼装』が続き、『略礼装』は比較的ラフながらも礼装の一種です。
 結婚式においても、この3つの礼装の中から選択しますが、着物でも同様の考えが適用されます。
 着物においては、『紋(もん)』の入れ方によってその格が上がります。
 『紋』は家や個人、団体を表すしるしで、紋無し→一つ紋→三つ紋→五つ紋の順に格式が高まります。
 同じ種類の着物でも、『紋』の数が多いほどその着物の『格』が高くなります。
 紋を入れる場所は五つ紋が『両胸』『両袖』『背の中心』、三つ紋が『両袖』『背の中心』、一つ紋が『背の中心』です。
 正礼装→準礼装→略礼装の順に、格式の高い服装になります。
 具体的に着物の『格』について見てみましょう。

着物種類紋の数と格
黒留袖五つ紋のみ…正礼装
色留袖五つ紋…正礼装
三つ紋、一つ紋…準礼装
色無地五つ紋…正礼装
三つ紋…準礼装
一つ紋…略礼装
紋なし…略装(結婚式にはふさわしくない)
訪問着三つ紋、一つ紋、紋なし…準礼装
付け下げ一つ紋…略礼装~準礼装
紋なし…略礼装
振袖紋がないものが主流ですが、紋なしのものでも「正礼装」となります。

 着物の種類と紋(もん)の数の組み合わせで服装の格式が決まります。
 このガイドを参考にして、結婚式でのおしゃれなスタイリングを楽しんでください。

 一般的には、新郎新婦の母親は「黒留袖(くろとめそで)」を、親族は「色留袖(いろとめそで)」「訪問着(ほうもんぎ)」「振袖」を選ぶのが一般的です。
 友人や仕事仲間などゲストとして招かれた場合には、「振袖」「訪問着」がふさわしいとされています。
 これらの着物にはそれぞれ特有の特長と違いがあります。

振袖とは?華やかさの象徴

 未婚女性だけが着られる「振袖」は、成人式で着たことがある人も多いでしょう。
 未婚の女性のための「振袖」は、『紋』がないことが一般的であり、最も格式が高い着物とされています。
 「振袖」は未婚女性の『第一礼装(だいいちれいそう)』として、その『格』が高いため、結婚式にふさわしい装いとなります。
 「振袖」は袖の長さによって『大振袖(おおふりそで)』『中振袖(ちゅうふりそで)』『小振袖(こふりそで)』の3つに分けられます。
 『大振袖』または『本振袖(ほんふりそで)』は花嫁が主に着用し、袖の長さが115センチで格が高いです。
 『中振袖』は105センチで、成人式などでよく見られます。
 『小振袖』は袖の長さが85センチで、軽くてかわいらしい印象で卒業式の袴に合わせられます。
 「振袖」を着る際に気になるのは、「何歳までなら着ても大丈夫なのか」という点です。
 特に決まりはありませんが、「振袖」の多くは成人式向けに作られているため、30歳前後までが適しているでしょう。
 30代前半で「振袖」を着たい方は、『総柄の振袖』ではなく、シックな地色で柄の数が少ないものを選んで落ち着いた雰囲気にまとめると良いでしょう。
 「振袖」にこだわらず、「訪問着」を選ぶことも一つの選択肢です。

黒留袖とは?クラシックな美しさを体現

 「黒留袖(くろとめそで)」は、留袖の一種で地色が黒く、裾にのみ模様が施された美しい着物です。
 『家紋』の入れ方には染め紋(そめもん)や刺繍紋(ししゅうもん)など様々な技法がありますが、一般的には染め抜きの日向紋(ひなたもん)で五つ紋(背中、両胸、両後袖に家紋)を配置し、『衿』『袖口』『おくみ』『裾』の部分には白羽二重(しろはぶたえ)の布を縫い付け、比翼仕立て(ひよくじたて)で重ね着風に仕上げるのが特徴です。
 「黒留袖」は既婚女性の正礼装(第一礼装)とされ、着物の中でも最も格式が高いため、フォーマルな場面での利用が主となります。
 レンタルの際、『家紋(かもん)』の心配がある方も多いかと思いますが、通紋(つうもん)と呼ばれる、どなたでも問題なく使用できる家紋を多くのレンタルショップが採用しています。
 「留袖」はもともと「振袖」の袖を短くして『留めた袖』と呼ばれ、江戸時代の既婚女性が採用していました。
 明治時代には西洋のブラックフォーマルに倣って『黒の留袖』が礼装用に広まり、現在も結婚式などで親族が着用する儀礼的な着物として重用されています。
 「黒留袖」は地模様のない黒地に、裾にのみ絵羽模様(えばもよう)が施されたデザインです。
 既婚者が着用する中で最も格式が高い正礼装であり、染め抜きの日向紋の五つ紋が必須です。
 比翼仕立てが一般的で、昔は白羽二重の着物を重ね着していましたが、現代では動きやすさを重視して比翼地を着物の『衿』『袖口』『裾』に取り入れるスタイルが一般的です。
 結婚式での「黒留袖」の着用は、基本的には新郎新婦の親族である既婚者に限られます。『母親』『祖母』『既婚の姉妹』『伯母・叔母』が該当しますが、最近では新郎新婦の母親のみが「黒留袖」を選ぶ傾向が強まっています。
 40代、50代の伯母・伯母も未婚の場合は「黒留袖」は選択できません。
 また、既婚の姉妹が20代の場合は重厚すぎるため、「色留袖(いろとめそで)」が選ばれることが増えました。
 近年はセミフォーマルやカジュアルな結婚式が増加し、親族全員が「黒留袖」を選ぶ儀礼が減少しています。
 留袖に合わせる袋帯は格調高いものを選び、二重太鼓(にじゅうだいこ)を結ぶことで喜びを表現します。
 帯の柄は有職文様(ゆうそくもんよう)や吉祥文様(きっしょうもんよう)が好まれ、色物の帯揚げ(おびあげ)や帯締め(おびじめ)は使用せず、白い長襦袢(ながじゅばん)や白色の半衿(はんえり)、足袋(たび)を合わせます。
 バッグと草履は「留袖」の格式に合わせ、末広(すえひろ)を取り入れることが一般的です。

色留袖とは?華やかな選択肢

 「色留袖」は、留袖の一種で地色が黒以外の美しい着物です。
 無地や地模様入りのデザインがあり、裾には「黒留袖」同様に絵羽模様が施されています。
 比翼仕立ての「色留袖」には五つ紋を加えることで、「黒留袖」と同等の正礼装になりますが、五つ紋が必須ではなく、三つ紋や一つ紋でも準礼装として利用可能です。
 「色留袖」と「黒留袖」の違いは、留袖の地色が黒かそれ以外の色かという点に加え、「色留袖」は既婚未婚を問わずに着用できる点が挙げられます。
 「黒留袖」は既婚女性の正礼装であるのに対し、「色留袖」は広い年齢層や状況で活用可能です。
 また、「黒留袖」が五つ紋が規定の正礼装であるのに対し、「色留袖」は三つ紋や一つ紋でも十分に華やかな装いとして着用できます。
 結婚式での「色留袖」の着こなしには、紋を付けることが一般的です。
 五つ紋を選ぶと「黒留袖」と同格の格式が得られますが、最近では三つ紋で仕立て、結婚式以外でも気軽に着用したいという傾向が広まっています。
 「色留袖」の魅力は異なる地色の選択肢と柄のバリエーションにあり、帯との相性次第で華やかで洗練された印象を演出できます。
 格式を保ちながらも幅広いシーンで活躍する、実用的で美しい選択肢と言えるでしょう。

訪問着とは?格式高い場での着用にもふさわしい

 「振袖」が未婚女性に限られるのに対し、「訪問着(ほうもんぎ)」は未婚既婚を問わずに楽しめる準礼装です。
 袖は短く、全体に一つなぎの模様が広がり、胸元にも装飾があり、テーブル席でも華やかな印象を与えます。
 色味には慎重な配慮が必要ですが、和装ゲストにおいて最も無難な選択と言えるでしょう。
 色留袖と同じく未婚既婚を問わずに身につけられ、多彩な絵柄を楽しむことができます。
 親族の場合は『紋』を添えて『格』を上げることもありましたが、現在は無紋の着用者が増加しています。
 友人や同僚として出席する際は、無紋の「訪問着」が適切です。
 「色留袖」や「振袖」と異なり、「訪問着」は多様なシーンで利用できますが、結婚式では控えめな色使いと伝統的なデザインが好まれます。
 斬新な色合いや個性的な柄は慎重に選ぶことが大切です。
 「訪問着」のエレガントな魅力を活かし、格式高い場でも気品を演出しましょう。

付け下げとは?品格ある大人の女性のための選択

 「訪問着」よりも格下に位置づけられる付け下げは、上下の柄が連続しない点が特徴です。
 「訪問着」との違いは、この柄の継ぎ目の有無にあります。
 「付け下げ(つけさげ)」は柄が比較的シンプルで、総柄や大柄のものが少なく、そのためカジュアルな印象があります。
 そのシンプルさこそが、様々なシーンでの着こなしやアレンジの自由度を広げています。
 結婚式や披露宴、懐石料理を楽しむ会食、観劇など、フォーマルな場面からカジュアルなイベントまで、帯や小物でアクセントをつけ、おしゃれなスタイリングを楽しむことができます。

色無地とは?シンプルで洗練された印象を演出

 「色無地(いろむじ)」は、一色で染められ、柄がないシンプルな着物を指します。
 結婚式で「色無地」を選ぶ際には、紋を取り入れた色無地を選ぶことが一般的で、格調高く美しいスタイルを完成させることができます。

結婚式のお呼ばれ着物選びのポイント

 結婚式にお呼ばれした場合、どの立場で参列するのか、未婚か既婚か、そして年齢が、着物を選ぶための大きなポイントになります。
 お呼ばれのシーンや関係性によっても適切な装いが異なります。
 ここでは、異なる状況におけるお呼ばれ着物選びのポイントをいくつかご紹介します。

 仲人夫人は結婚式において特別な存在であり、そのため外見からも格式と品位を表現することが求められます。
 仲人や媒酌人として結婚式に出席する場合、服装は新郎新婦の装いの格に準じるというのが基本です。
 そのため、新郎新婦が正礼装の場合は仲人夫人の装いも正礼装の「黒留袖」となります。
 基本的には「黒留袖」を着ますが、新郎新婦の母親が「黒留袖」を着ない場合、仲人が「黒留袖」を着ると、母親よりも服装の格が上になってしまいます。
 この場合は少し格を落として、「色留袖」にしておきましょう。

 結婚式においての家族や親族は、新郎新婦と共にもてなす立場になります。
 そのため、お祝いの場にふさわしい華やかさ以上に、きちんとした印象を与える装いでゲストに失礼のないようにしなければなりません。
 特に、新郎新婦との関係性が近いほど、服装の『格』の高さが求められます。
 新郎新婦からの血縁の近さの順に格を考え、両家のバランスや会場の『格』にも配慮が必要です。
 「黒留袖」「色留袖」「訪問着」の中からどれを選ぶかは慎重に検討しましょう。
 「黒留袖」は格式高く、親しい関係の場合でも適しています。
 「色留袖」は和やかな雰囲気で、親戚としての温かみを感じさせることができます。
 「訪問着」は一つ格下でありながら格式を損なわず、程よい華やかさを演出できます。
 選ぶ際には、会場や新郎新婦の衣装、家族や他の親戚のスタイルも考慮し、バランスを取ることり、おめでたい場にふさわしい選択で、家族や親戚としての優雅な印象を残しましょう。

黒留袖を着る場合:厳かで格式高い印象を与える

 結婚式において「黒留袖」を着用できるのは、新郎新婦の母親です。
 子供たちの結婚を祝福するために足を運んでくれたゲストに対し、親として最大限の敬意と感謝を表すための装いには、正礼装である「黒留袖」がもっともふさわしいと考えられています。
 新郎新婦の母親が正礼装の「黒留袖」を着用するなら、伯母・叔母・祖母などの親族の既婚女性も正礼装である「黒留袖」を着ても問題はありません。
 最近は「黒留袖」では格が高くなり過ぎると、母親以外の親族はあえて「色留袖」を着用するケースも多いようですが、地域によっては親族の既婚女性は全員「黒留袖」というしきたりのところもありますので、新郎側と新婦側、また、それぞれの親戚同士で相談して決めると良いでしょう。
 「黒留袖」の柄行は幅の広い華やかなものから、裾の低い位置に上品に施されたものまでさまざまですが、年代に合わせて柄の大きさや柄数の多さを見直すとよいでしょう。
 若いうちは華やかで動きのある大柄のものが似合いますが、50代以降は落ち着きのある柄、あまり大きすぎないすっきりとした柄行のものを選ぶのが一般的です。
 ただし、背の高い方が低い位置に柄のある「黒留袖」を着用すると全体的に寂しく見えてしまうため、ある程度の高い位置まで柄が広がっているものを選んだほうがよいことも。
 また、「黒留袖」は慶事用の着物ですから、おめでたい柄が基本ですが、最近は風景や洋花などのモダンな柄も増えてきました。
 親族が押さえておきたいのは、基本的に、『一番格の高い着物を着るのは新郎新婦の両親』だということ。
 もし新郎新婦の母親が「黒留袖」を着ないなら、他の親族も控えるのがマナーです。

色留袖を着る場合:個性を輝かせる上品な選択

 「色留袖」は、五つ紋であれば黒留袖と同格、三つ紋または一つ紋はそれに準じる格の着物です。
 五つ紋のものは、姉妹、祖母、伯母(叔母)までは、「黒留袖」と並ぶ選択肢となります。
 特に若い既婚の姉妹が黒留袖に抵抗がある場合は、格を気にせず着用することができます。
 レンタルできる色留袖は三つ紋のことが多いため、結婚式でも三つ紋の色留袖を着ている方が増えているようです。
 これらの近しい親戚でも、最近では着物の紋の数を気にする方も少なくなっているようです。
 結婚式において色留袖を選ぶ際、自身の好みやスタイルに合わせて、格式を守りつつも自由な発想でコーディネートすることで、上品で華やかな印象を演出できます。

訪問着を着る場合:格式と華やかさを兼ね備えて

 「訪問着」は、『紋』を入れることで三つ紋または一つ紋の「色留袖」と同じ準礼装に属します。
 近しい親戚は他の招待客よりも格の高い着物で迎えるべきとの考えからは、『姉妹』『祖母』『伯母(叔母)が「訪問着」を選ぶのであれば、『紋』を入れたものが望ましいでしょう。
 従姉妹等少し離れた親戚であれば、親戚は新郎新婦と近い親族より、少し格を抑えぎみにするのが好ましく、紋無しの「訪問着」や「付下げ」も着用することができます。
 「訪問着」は格式ある装いを演出する一方で、色柄や帯のアレンジで個性を表現できる着物です。
 特に親戚同士の結婚式では、控えめながらも華やかさを忘れずに、会場にふさわしい印象を与えることが大切です。
 帯締めや小物使いでアクセントをつけ、自分らしいスタイルを楽しむことで、素敵なお呼ばれコーディネートが完成します。

振袖を着る場合:輝く魅力で華やかに

 未婚の場合、「振袖」が華やかでお勧めです。
 「振袖」は未婚女性の第一礼装です。
 招待客を迎える側である姉妹が着るのにふさわしい格の着物です。
 姉の立場で「振袖」を着るのがどうかという点を気にする方もいますが、年齢と両家の考えで決めると良いでしょう。
 血縁の近さ遠さにかかわらず、従姉妹等も着ることができます。
 ゲストをお迎えする側でもあるので、落ち着いてやさしい柄色であると品の良い印象になります。
 振袖は華やかで格式高い着物ですが、帯や小物のアレンジで自分らしいスタイルを演出でき、洗練されたコーディネートは、結婚式を一層特別なものにすることができます。

 親戚以外のゲストは、『招待される』側です。
 『招待する』側の親戚よりも少し格を落とし、『準礼装』か『略礼装』を選びましょう。
 未婚なら「振袖」、既婚・未婚問わないのが「色留袖」「訪問着」「色無地」です。
 友人の結婚式では、お互いのバランスを考え、程よい華やかさとおしゃれさがポイントです。
 派手過ぎる装いや、新婦の着物と色・柄がかぶる着物は避けたいところ。
 「上品な華やかさ」を意識して選ぶことが大切です。

振袖を着る場合:華やかで可愛らしい印象を演出

 20代の未婚女性が友人の結婚式に招待されたときには、礼装である「振袖」がオススメです。
 振袖は未婚女性の第一礼装。
 結婚式の会場がぐっと華やかになるため、新婦やそのご家族にも喜ばれるものです。
 とくに、由緒正しい結婚式場や一流ホテルでの結婚式や披露宴に、彩りを添えてくれます。
 花嫁衣裳である大打掛や本振袖(大振袖)が最も格の高い振袖となります。
 お呼ばれしたゲストは格を下げて「中振袖」にするのがマナーです。
 大切なのは「花嫁よりも目立たないこと」です。
 花嫁とカブらないように色だけでも確認しておいた方がいいかもしれません。
 友人として、会場に花を添えるつもりで明るい色を選ぶとよいでしょう。
 何歳まで着て良いのかという点について、本来年齢のルールはありませんが、平均初婚年齢が30歳を超えたことを考えるとそのあたりまでは心配ないでしょう。
 成人式の時の振袖が華やかすぎると感じる場合、帯や小物は少し落ち着いたものを合わせたり、帯結びをお太鼓結びにしたりすることで着物の雰囲気を変えることができます。
30代の方が振袖を着用する場合は、落ち着いた地色で柄色が少ないものを選ぶなど、エレガントな装いを心がけましょう。
 チャペルやガーデンウエディングなど、会場によってはバラや百合などの洋花が描かれたものを選んで、ドレス感覚で着るのもオススメです。
 おしゃれで華やかな印象を演出し、友人の特別な日を素敵な思い出にしましょう。

訪問着を着る場合:大人の魅力を引き立てるエレガントなスタイル

 30代以降の未婚女性や、20代でもすでに結婚している方には、年齢や既婚・未婚にかかわらず着用することができ、色柄ともにバラエティ豊かな「訪問着」がオススメです。
 幅広い場面で活躍してくれる訪問着は、あえて紋を入れないことが多いのですが、お呼ばれしたゲストの立場なら、無紋の訪問着で何の問題もありません。
 おめでたい席にふさわしい、明るくて華やかな色柄の訪問着を選びましょう。
 親族の方は格式のある古典柄の訪問着を選ばれることが多いので、ゲストならではの遊び心のある、おしゃれな訪問着をあえて選んでみるといいでしょう。
 訪問着は大人の女性の魅力を引き立てるエレガントなスタイルを演出できる一着です。
 挑戦的なデザインや色合いで、友人の特別な日をより素敵に彩りましょう。

小紋を着る場合:シンプルで上品な印象をアピール

 「小紋(こもん)」はあくまで普段着の扱いですが、ものによっては、結婚式参列などのお呼ばれに着ることもできます。
 最近では小規模なハウスウエディングや人前式、レストランウェディングも増えていますから、シーンに応じて選択するのも良いでしょう。
 華やいだ色合いや柄のものを選び、帯・小物ともに訪問着や付下げに合わせるようなものを選ぶことで、礼装に近い雰囲気で装うことができます。
 上品な色合いや控えめな柄の小紋は、友人の結婚式にふさわしい選択であり、特に昼間の式典にはより相応しいとされています。
 小物使いや帯の結び方に工夫を加え、自分らしいスタイルを表現しましょう。

 後輩、上司として結婚式に出席する際に心がけたいのは、格ときちんとした印象の着物コーディネートをすることです。
 特に上司にあたる場合には、新郎新婦に最も近い席が用意されることや社会的立場も考えて、他の招待客よりも格の高い着物を選びたいものです。
 後輩にあたる場合も、新郎新婦の職場がどのようなところかを他の招待客に感じさせてしまう立場です。
 上品で控えめな着物が好印象を与えます。

訪問着・付下げを着る場合:職場の雰囲気に合わせた上品なスタイリング

 「訪問着」も、上司・後輩ともに結婚式で着ることができます。
 上司の場合、できれば『紋の入った着物を選びたいところですが、「訪問着」に『紋を入れることが少なくなっている現代では気にしすぎる必要はありません。
 柄の分量がしっかりとあり、古典柄等、格の高さを感じさせる着物を選びましょう。
 後輩の場合、好感度の高い古典柄や、モダンな柄であればすっきりとして品良く見えるものがおすすめです。
 「付下げ」は「訪問着を簡略化したものですので、後輩であれば結婚式でも着用することができる着物です。

色無地を着る場合:シンプルながらも品格を感じさせる

 「色無地」は、『紋が入っていれば準礼装として結婚式で着用することができます。
 ただ上司の立場の場合、「色無地」は柄がないだけにどうしても格を印象づけにくい着物です。
 さらに上の立場の上司がいる場合や、新郎新婦と年齢の近い上司の場合に選ぶと良いでしょう。
 帯合わせで格を出すのは、友人の場合と同様です。
 後輩であれば、控えめで好印象を与えるため訪問着や付下げと並ぶ選択肢となります。
 綺麗な色合いの着物を選び、帯と小物は礼装らしいものを合わせましょう。

 実際にお呼ばれした結婚式で着物を着る場合、どんなことに気をつければいいのでしょうか?
 結婚式の雰囲気や自分の年代に合う着物を選んで、お祝いの場に華を添えてあげましょう。

避けたほうがいい着物の色:祝福の場に相応しくないカラーチョイス

白地が多い着物
花嫁衣裳といえば、「白無垢(しろむく)」を思い浮かべる方も多いでしょう。
着物の場合は白を基調としていても必ず柄色が入っているので、そこまで神経質にならなくてもいいように思いますが、中には洋装でも和装でも、白は花嫁の色と考えている花嫁や親族の方もいます。
白地が多い着物はできるだけ避けておくと無難です。

黒地の着物
反対に、必ず避けたほうが良いのが黒の着物。
新郎新婦の親族は「黒留袖」を着るのが一般的です。
また、花嫁の「打掛(うちかけ)」が黒地という場合もあります。
黒地の「振袖」や「訪問着はおしゃれに見えますが、親族とまぎらわしくならないように結婚式では避けたほうがよいでしょう。

赤・黒・オレンジ・金色
花嫁衣裳の色柄がわからない場合には、予め「打掛(うちかけ)」や「本振袖」などの花嫁衣裳に多い赤や黒、オレンジや金色などの色の着物は避けておくといいでしょう。
これらの色は祝福の場において花嫁とかぶる可能性があるため、控えめな色を選ぶことが大切です。

主役の花嫁とかぶる色
結婚式の主役は花嫁です。
花嫁よりも目立つ派手な色はマナー違反といわれてしまうので、避けたほうがよいでしょう。
主役の引立て役として、派手な印象を避け、控えめで上品な色選びを心がけましょう。

小物・アクセサリー・髪飾り:上品で調和のとれたコーディネート

 お祝いの場に相応しい小物、草履、バッグ選びが全体の印象を左右します。
 全体の格をそろえ、控えめで上品なコーディネートを完成させましょう。
 ピアスやネックレスなどのアクセサリーや時計は着けないのが全体のバランスもよく、スマートな印象。
 何か合わせる場合は、かんざしなどの髪飾りで花を添えて。
 「留袖」の場合、使える髪飾りは「簪(かんざし)」のみです。
 扇型で控えめな金や銀、べっこう、パールなどの素材であれば問題はありません。
 「振袖」のときに使用したような揺れるタイプや、大きな花の髪飾りなどはマナー違反になるので気をつけて。

留袖の髪型:ヘアスタイルとの調和を大切に

 結婚式で「留袖」を着用する場合、礼装にふさわしい上品な髪型にすることが大切です。
 控えめなアップスタイルが基本です。
 おしゃれに見えるハーフアップや、毛先をちょっと遊ばせたり、アップにして毛先を垂らすスタイルなどが流行っていますが、「留袖」ではマナー違反となります。
 髪をまとめるときには、シニヨンを耳より下の位置にして、高く結び上げたり、大きく膨らませるスタイルにならないように気をつけて。
 アップにするには髪の長さが足りないショートや、ボブの場合は、普段よりもふんわりとしたボリュームのあるスタイルにすると、留袖にも似合う髪型になります。
 お祝いの席でのヘアスタイルは、「留袖」と調和しつつ上品であり続けるよう心がけましょう。

着物着用時の立ち居振る舞いマナー:優雅で気品ある振る舞いを心得る

 身体全体を1枚の布で包み込むような着物は、腕も足元も小さめに動かすと着崩れが防げます。
 ゆったりと小ぶりな動きを心掛けましょう。
 着物だからといってマナーを気にし過ぎず、次のことを心掛けていれば大丈夫です。
 安心して楽しみましょう。
 手を伸ばす
  背筋を伸ばし、反対の手で袖口を押さえるなど、袂(たもと)の存在を忘れずに。
 立ち座り
  上前(うわまえ)が崩れぬよう、手を添えるように気を付けて。階段を上り下りする際も同様に。
 化粧室を使用した後
  前だけでなく、後ろ姿の着崩れの配慮も忘れずに。優雅な振る舞いは、結婚式に華を添えます。

 結婚式での着物のマナーは、時代とともに変化しています。
 お呼ばれの頻度が少ない人にとっては馴染みにくいかもしれませんが、結婚式は式典としての場であり、お祝い感ときちんとした装いが求められます。
 着物には『格』があり、立場や年齢によって選ぶべきものが変わります。
 未婚か既婚か、年齢、立場などが大きなポイントです。

着物の格の基本
新郎新婦やその家族に近い親戚が一番格の高い着物を選びます。
母親や祖母は一般的に「黒留袖」が適しています。

季節や時間帯に合わせた選択
昼の結婚式では淡い色合いや華やかな柄が、夜の披露宴では落ち着いた色や格式高い柄が好まれます。

柄や紋の注意
親しい友人などでは柄や紋にこだわらなくても良いですが、新郎新婦の家族や上司など社会的な立場の高い人々との場合は格の高さを考慮しましょう。

帯や小物の選び方
全体のバランスを考慮して帯締めや帯揚げ、草履やバッグを選ぶことで、上品で華やかな印象を演出できます。

 これらのタブーとルールを守りつつ、自分らしいスタイルを楽しむことが、お呼ばれの結婚式での着物コーディネートの成功の鍵です。
 お祝いの場にふさわしい華やかな装いで、素敵な思い出を作りましょう。

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