お子さまの晴れの日に寄り添う母親の装いは、家族にとっても心に残る大切な思い出になります。
春の訪れを感じる卒業式や入学式には、母親らしい優雅さと節度を大切にした着物選びが求められます。
特に最近は、「マナーを大切にしながらも、個人の好みを表現できる」柔軟なスタイルが支持されています。
格式と美しさを兼ね備えた母親の着物

式典の場では、母親として品位を感じさせる「準礼装(略式礼装)」が一般的です。
中でも人気なのが、訪問着・付け下げ・色無地です。
- 訪問着
華やかな絵羽模様が特徴で、格式を保ちつつもお祝いの席にふさわしい華やぎを添えます。卒業式や入学式だけでなく、七五三やお茶会にも着用されるため、一枚でさまざまな行事に対応できます。 - 付け下げ
訪問着に次ぐ格で、控えめでありながらも上品な雰囲気をまといます。お子さまを引き立てながら、母親としての立ち居振る舞いを美しく見せる装いです。 - 色無地
無地染めのシンプルな美しさが魅力です。一つ紋を入れることで、訪問着や付け下げと同じ略式礼装として着用できます。シンプルだからこそ、コーディネートの幅も広がり、控えめな優雅さを演出できます。
最近のマナーの変化と『私らしさ』の演出
以前は「母親の着物は落ち着いた色味・柄が良い」という考え方が一般的でしたが、最近では「お子さまの成長を祝う喜びをシェアするように、自分らしい華やかさを装いに取り入れる」柔軟なスタイルが広まっています。
淡いパステルカラーや春らしい花模様をまとい、さりげなく優しい彩りを添える着こなしは、会場に明るい空気を届けてくれます。
ただ、学校や地域の雰囲気によっては着物選びに配慮が必要なこともあります。
迷ったときは落ち着いた色柄を基本に、小物や帯でほんのりと華やかさをプラスして、さりげなくお祝いの気持ちをシェアできる装いを心がけるのがおすすめです。
帯・バッグ・髪型も上品さを意識
母親の着物には、着物の格に合った袋帯を合わせるのが基本です。
帯の色柄は控えめにまとめ、帯締めや帯揚げで優しいアクセントを添えましょう。
バッグや草履もフォーマルなものを選び、装い全体に統一感をもたせると、より上品な印象に。
髪型はシンプルで清楚なまとめ髪がおすすめ。
華美すぎないヘアスタイルは、着物姿をいっそう引き立ててくれます。
避けた方がいいものは?

入学式や卒業式は子どもたちが主役となる特別な日です。
そのため、母親の着こなしは華やかすぎず控えめすぎないバランスが求められます。
着物選びにおいては、格式が高すぎるものは場違いに映り、逆に格式が低すぎるものはフォーマルさに欠けてしまいます。
したがって、目立ちすぎない色や柄を選ぶことが重要です。
明るすぎる色や派手な柄は避け、落ち着いた色合いや品のある柄を選びましょう。
また、着物に合わせる帯やバッグも重要なポイントです。帯は着物に合わせた格のものを選び、カジュアルな洒落帯は避けるべきです。
また、金糸が多すぎる帯は目立ち過ぎる恐れがあるため、白や銀が主体の淡い色の袋帯を選ぶと良いでしょう。
バッグに関しては、ブランドのロゴが入ったものやチェーンなどの装飾がついているものは避け、控えめなデザインのものを選ぶことが望ましいです。
ビジネス用の大きなトートバッグなどは着物とのバランスが悪いため避けるべきです。
さらに、着物を着る際の髪型も重要です。
派手すぎる髪型は控え、シンプルで上品なスタイルが好印象です。
着物のシルエットとのバランスを考え、少し高めの位置でまとめた髪型がおすすめです。
母親の装いは子どもを引き立てるものであるべきですから、全体のコーディネートを考えながら選ぶことが大切です。
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