「卒業式の袴丈、どう選べばいいの?」──そんな声にお応えする、身長・袖丈・足元のバランスから考える袴丈の選び方ガイドです。
草履やブーツ、振袖・二尺袖・訪問着など、着こなしのスタイルによってベストな丈感は少しずつ変わるもの。
この記事では、失敗しない袴丈の目安と選び方を、図解・早見表つきで丁寧にご紹介します。
自分らしく、そして凛とした一日を迎えるために。
ぴったりの袴丈で、卒業式の思い出をもっと素敵に仕上げましょう。
袴丈がフィットすると、卒業式の心が軽やかに舞い上がる
卒業式は、人生の節目に立ち会う晴れやかな日。
そんな大切な一日を彩る「卒業袴」は、丈の選び方ひとつで印象ががらりと変わります。
特に見落とされがちなのが 「袴丈と袖丈、足元(草履・ブーツ)」のバランス。
「身長は高いけれど袖が短く見える」「ブーツを合わせたいけど丈感がしっくりこない」など、どこか『惜しい』着姿にならないよう、この記事では 身長・履物・袖丈の関係性 をわかりやすく解説。
お好みのスタイルを迷わず選べるよう、早見表やコーディネートのヒントもご紹介します。
袴丈・袖丈・足元、3つのバランスが大切な理由
袴の前紐から裾までの長さを指し、見た目の印象や動きやすさに直結します。
長すぎると踏んでしまい、短すぎると重心が上がって子どもっぽく見えることも。
アンダーバストの約5㎝下から垂直にメジャーを降ろし、お好みの丈を測ります。
自分の身長にちょうどいい袴丈が分からない場合は、実際に測ってみることも一つの手です。
事前に試着ができない時や、ネットでのレンタルや購入を検討している方は、ご自身に合う丈を事前に測っておくことで、着用時のイメージが付きやすくなるでしょう。

振袖(中振袖)の袖丈は約110cm前後と長く、華やかな印象を与える長さです。
二尺袖は約76cm程度と中振袖より短く、動きやすさと軽やかさが特徴です。
訪問着の袖丈は約49cm(並袖)とさらに短く、落ち着いた印象を与えます。
袴丈とのバランスが取れていないと、袖が袴に埋もれてしまったり、逆に袖だけが目立ってしまうこともあるため、着物の種類に応じた丈感の調整が大切です。
- 袴丈が短め:袖がふわっと際立ち、軽やかな印象に。
- 袴丈が長め:袖がすっきりまとまり、落ち着いた印象に。
袴丈は足元の高さによってベストな長さが変わります。
- 草履:高さが低め。長めの丈が映える。
- ブーツ:ヒールで高さが出るため、やや短めの丈がバランス良好。
身長×足元別 袴丈の早見表(+袖丈との目安)
対応身長 ( 草履を履く場合 ) | 対応身長 ( ブーツを履く場合 ) | 着物のサイズ(裄) | |
---|---|---|---|
ショート ( 袴丈87cm ) | 145-149cm | 150-155cm | 68cm ( 全サイズ共通 ) |
ノーマル ( 袴丈91cm ) | 150-155cm | 156-162cm | |
セミロング ( 袴丈95cm ) | 156-162cm | 163-168cm | |
ロング ( 袴丈99cm ) | 163-168cm |
- 袴丈をやや短めに → アクティブで軽やかな印象に(ブーツ派におすすめ)
- 袴丈をやや長めに → しとやかで落ち着いた雰囲気に(草履派におすすめ)
袴に合わせる着物の種類と印象の違い
袴の上に合わせる着物は、袖の長さや柄行によって印象が大きく変わります。
以下の3つが代表的です。
【振袖(中振袖)×袴】華やかで祝福ムード満点のスタイル

- 袖丈が110cm前後と長く、もっとも華やか。
- 卒業式の王道スタイル。華やかで写真映え重視の方におすすめ。
- 袴のカラーや刺繍を効かせて個性的なコーデも楽しめます。
【二尺袖×袴】軽やかさと上品さのバランス

- 袖丈は約76cmで、軽やかさと動きやすさが両立。
- 袖に大柄のデザインが映えるため、程よい華やかさに。
- 初めての袴スタイルにも◎。
【訪問着×袴】控えめな上品さと大人の華やぎ

- 袖丈は約49cm(並袖)。落ち着いた上品さが魅力。
- 教職員の式典参加時、または控えめな印象を望む方に。
- 袴を無地やシンプルな色で合わせると知的な印象にまとまります。
袴丈を選ぶ前にチェックしたい3つのこと
- 自分の身長と希望する足元の種類(草履 or ブーツ)を明確に。
- 写真重視 or 動きやすさ重視?シーンに合った丈感を選びましょう。
- 袖のボリューム感を意識して、全体のシルエットバランスを整えて。
袴丈の選び方
身長にあわせた選び方
長身の方には、やや長めの袴丈が理想的です。
縦のラインや縦柄のデザインを選ぶことで、スリムで洗練された印象を与えることができます。
さらに、中振袖を選ぶと、女性らしいフェミニンな雰囲気が引き立ち、華やかな袖の柄が一層映えます。
小柄な方には、短めの袴丈がバランスを良く見せる秘訣です。
袖が長いと地面に触れたり踏んでしまったりするリスクがあるため、中振袖を選ぶ方は注意が必要です。
その場合、ブーツを履くことで身長を少し補い、全体のバランスを取ることができます。ブーツはモダンな雰囲気を演出してくれるので、コーディネートのアクセントにもオススメです。
履物にあわせた選び方
卒業式の袴選びでは、履物によって選ぶ袴の長さが変わります。
ここでは、草履とブーツ、それぞれの履物に合わせた袴丈の選び方について解説します。
まずは身長に基づいて袴丈の目安を決めて、その後履物に合わせて調整することで、より美しい袴姿になります。自分のスタイルや好みに合わせて、草履またはブーツを選び、それに最適な袴丈を見つけましょう。

草履は長め丈
草履を履く際の袴丈は、くるぶしが少し隠れるくらいの長さに合わせるのが基本です。
丈が短いと足袋の上から出る素足が見えてしまうことがあり不格好になってしまいます。
ただし逆に足首全体が隠れるほど長い丈だと、裾が床についたり踏んでしまったりする可能性があるので、ちょうどいい丈を測って選びましょう。
- 上品で古典的な雰囲気を演出できる
草履は和装の基本的な履物であり、卒業式のようなフォーマルな場にふさわしい上品な印象を与えます。
古典的なスタイルを重視する方には最適な選択肢です。
また、足元がすっきりと見え全体のシルエットが美しく整いますので、可愛らしさや清楚さも感じられます。 - 着脱しやすい
草履は脱ぎ履きが簡単で、立ったまま履けるため、着崩れの心配が少なくなります。
卒業式当日、長時間の移動や式典の最中でも安心して履ける履物です。 - どんな柄にもあわせやすい
草履はさまざまな柄の着物や袴に合わせやすく、コーディネートの幅が広がります。
古典的な柄からモダンな柄、レトロな柄まで、どのスタイルにも馴染みやすいのが特徴です。
着物や袴の色に合わせた草履を選ぶことで、全体がきれいにまとまります。
- 鼻緒ずれして痛い
草履に慣れていない人は、鼻緒が擦れて足が痛くなることがあります。
特に新品だと鼻緒が硬くて鼻緒ずれしやすいので、事前に履き慣らしたり、揉み解して柔らかくしておいたりするなど、足に馴染みやすくなる対策をしておくといいでしょう。
また履くときには指を密着させすぎず少し余裕を持たせて履くことで、鼻緒ずれを軽減できます。 - 足元が冷えやすい
卒業式が行われる2月や3月はまだ寒さが残る季節です。
草履は足先を覆わないため、冷えやすいというデメリットがあります。
防寒対策として、足袋を厚手のものにするなどの工夫が必要です。 - 天候に左右されやすい
雨や雪の日には、草履を履くと足元が濡れやすくなります。
足袋が濡れると冷えが増すため、できれば予備の足袋を持っておくと安心です。
ブーツは短め丈
ブーツを履く場合は、草履の時よりも約3cm程度短く袴丈を設定するのがポイントです。
ブーツは足元にボリュームがあるため、袴丈を短くすることで全体のバランスが良くなり、スタイリッシュな印象を与えます。
ブーツと袴の組み合わせは、現代的でおしゃれなスタイルとして人気があり、動きやすさも兼ね備えています。
当店ではブーツのレンタルも行っています。ぜひ、卒業袴と合わせる際に参考にしてください。
- レトロでモダンなスタイルを演出できる
袴とブーツのコーデが女学生スタイルとして定着したのは明治後期から大正時代といわれています。このスタイルを取り入れることで、レトロでおしゃれな雰囲気を演出できます。
和洋折衷の魅力を楽しみたい方には、ぴったりのコーディネートです。 - 歩きやすい
ブーツは普段から履き慣れている方が多いため、草履に比べて歩きやすいという利点があります。特に長時間の移動がある卒業式では、足の負担を軽減できるのが魅力です。 - スタイルアップ効果
ブーツのヒールによって、脚が長く見える効果があります。身長を高く見せたい方や、スタイルをよく見せたい方にはブーツがオススメです。 - 雨や防寒対策にも
ブーツは内部が見えないため、寒い季節には靴下やタイツを履いて防寒対策ができます。
また卒業式当日が雨の場合、草履では足袋が濡れてしまう心配がありますが、ブーツならその心配は不要です。悪天候でも足元を気にせずに済むのは、大きなメリットです。
- 紐がほどけるリスク
袴に合わせるブーツは、編み上げタイプが一般的です。しかし、紐がほどけてしまうと、慣れない袴姿では意外と結び直すのが大変です。
結び直す時に着付けが崩れるリスクもあるため、結ぶ際には注意が必要です。 - 着脱が手間
紐を結んだりほどいたりするタイプのブーツでは、脱ぎ履きに時間がかかるため、特に小学生のお子様にとっては少し手間がかかります。
当日ブーツを脱ぐ場面があると事前に分かっている場合は、ジッパー付きのブーツを選ぶことで、よりスムーズに脱ぎ履きできるでしょう。 - デザインを選ぶ必要がある
ブーツのデザインによっては、卒業式という式典に適さないカジュアルな印象になってしまうことがあります。選ぶ際は、フォーマルな場にふさわしいデザインを選ぶことが大切です。
選ぶポイントは、色は黒や濃い茶などのダークカラー、またはベージュが無難で、式典に適した落ち着いた印象を与えます。
また、ヒールは5㎝~8㎝程度の太いものが見栄えが良く、袴を美しく見せてくれます。
「好き」を叶える袴丈で、自分らしい門出を
身長だけではなく、足元や袖丈とのトータルバランスで、卒業式の装いはもっと素敵に仕上がります。
ぜひ「なりたい雰囲気」や「写真に残したい姿」をイメージしながら、あなただけの最適バランスを見つけてみてください。
あなたの門出が、心地よい丈感とともに、凛とした笑顔で包まれますように。
